不定期航路事業の安全管理ガイド

安全管理規程を、
図でわかる。

誰が決める。いつ止める。どう備える。

屋形船・遊覧船・観光旅客船の安全な運航を支える、事業者の共通ルール。規程の中身からフェーズ2への変更、届出後の運用まで、順番に整理します。

まずは全体像を見る

内容確認:2026年9月26日

高松海事事務所 公式動画

フェーズ2への対応を
動画でも解説

既存事業者の変更義務・期限・兼務の注意点を、図解とともにご案内します。

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01

まずは全体像

安全管理規程は、
「安全を実行するための約束」です。

海上運送法に基づき人を運送する事業では、安全管理規程を定め、届け出て、その内容を実際の運航で守ります。旅客定員12人以下の船を使う登録事業でも、安全管理の準備が必要です。

図解 1 ひとつの規程を、役割ごとに読み分ける
本体に書くこと

安全管理規程

安全方針・責任者・組織・教育訓練・点検・見直し

具体的な行動は、次の基準で定めます

運航を決める

運航基準

どんな気象・海象で中止するか。誰が情報を集め、判断し、連絡するか。

例:発航・航行継続・入港の可否判断
乗船・下船を支える

作業基準

乗降の誘導、旅客数の確認、救命設備の案内などをどう行うか。

例:乗下船時の担当・確認・合図
事故・異常に備える

事故処理基準

救助・通報・社内連絡をどう進め、誰がどの役割を担うか。

例:事故対応体制・緊急連絡網

これらの基準も安全管理規程の一部です。事業の内容・対象地域に応じて、防災等の基準も確認します。

ひな形の空欄を埋めるだけでは、完成しません。

船舶、航路、桟橋、担当者、連絡方法に合っていて、現場で使える内容になっていることが大切です。

02

誰が、何をする?

「陸で支える人」と
「船で判断する人」をつなぐ。

役職名を並べるだけでなく、責任・指示・報告の流れを決めます。担当者が不在のときの代行や、連絡が取れないときの対応も整理します。

図解 2 安全管理を担う主な役割

経営責任者

安全方針を決め、必要な人員・設備・体制を整える。

安全統括管理者

事業全体の安全管理を統括し、改善を進める。

陸上での運航管理

運航管理者

運航状況や気象・海象を把握し、運航の可否を判断。中止の指示や船への連絡・支援を行います。

船上での指揮

船長

船上の安全を指揮し、現場の状況を報告。危険があると判断したときは、自ら中止・避難等の措置を取ります。

役割を示した図です。4人の配置を一律に求める意味ではありません。兼務の可否、資格、代行者、陸上の体制は個別に確認します。

「船長が運航管理者を兼ねる」場合は、別の条件確認が必要です。

船が1隻でも、自由に兼務できるわけではありません。対象事業、講習、陸上従業者、連絡体制などを確認します。

兼務講習・船と陸の体制を詳しく見る →

安全統括管理者・運航管理者の資格と選任を見る →

03

いちばん大切な判断

「行けそう」ではなく、
決めた基準と現場の状況で判断。

出航のときだけでなく、航行を続けるとき、入港するときにも判断が必要です。予報と実際の状況を確かめ、運航管理者と船長がそれぞれの役割を果たします。

図解 3 運航可否の判断の考え方
風速波高視程予報・航路の状況
発航前・航行中・入港前に確認

自社の中止基準に達していないか?
安全な運航を妨げるおそれはないか?

船舶・乗組員の状態なども併せて確認します。

基準に達する/危険がある

中止・避難等の措置

運航管理者は中止等を指示。船長も危険を認めたときは、自ら必要な措置を取ります。

基準に達せず、安全を確認

所定の判断・確認を経て運航

基準内でも、自動的に運航してよいわけではありません。危険が予想される場合は運航を控えます。

判断した内容・時刻・理由を連絡し、記録

運航中も情報を確認し、状況が変われば再判断します。

考え方を示す図です。届出に添付する「運航可否判断等の手順図」は、事業者の体制と規程に合わせて作成します。

基準の数値は、事業ごとに設定

船舶の性能、航路、港の状況などに応じて、風速・波高・視程等の基準を具体化します。他社の数値をそのまま使わないことが大切です。

情報の「入手元」も決めておく

どこの観測値や予報を、誰が、いつ確認するかを決めます。「情報の入手元」の欄に書くのは、基準の数値ではなく情報源です。

04

既存事業者が確認したいこと

フェーズ2は、
規程を実際の運航に合わせて見直す機会。

安全管理規程のひな形は、2026年3月31日付で内容が充実されました。旧来の規程を持つ事業者も、改正内容と自社の運航体制を照らし合わせ、必要な変更届出を行います。

図解 4 フェーズ2対応の時間軸
  1. 2026年3月31日

    ひな形の改正

    事業区分に合った新しいひな形と、自社の規程を照合。

  2. 2027年3月31日まで

    既存事業者の変更届出

    経過措置の対象は2026年度末までに対応。作成・確認の時間も見込んで準備します。

  3. 変更後の運用

    船と陸で共有・実行

    届出後も教育・訓練、判断の記録、点検・見直しを継続。

関東運輸局の案内では、2026年4月1日以前から事業を営む事業者について、2026年度末までの変更届出を求めています。自社の経過措置・提出先は所管窓口で確認します。新規開業の届出をこの期限まで待てるという意味ではありません。

見直すときは、この4点を確認

01

ひな形の区分

一般航路・小規模航路・旅客定員12人以下の小型船舶など、事業に合うものを選ぶ。

02

判断手順の図

運航可否判断等の手順図を、運航基準の別紙として整える。

03

連絡・代行体制

実際に連絡できる体制に。兼務を行う場合は、その条件と対応を明確にする。

04

自社の実態

船舶・航路・担当者・連絡先を確認し、ひな形の例示が残っていないか見直す。

05

書類づくりから届出へ

事業の実態を整理して、
使える規程に仕上げる。

図解 5 作成・変更・届出の流れ
  1. 1

    事業と船舶を確認

    許可・登録の区分、旅客定員、航路、発着場所、現在の規程を確認します。

  2. 2

    人・基準・連絡方法を決める

    管理者・船長の役割、運航中止基準、情報源、連絡網、代行体制を整理します。

  3. 3

    規程・基準・別紙をそろえる

    本体と各基準、運航可否判断等の手順図、必要な添付資料の整合を確認します。

  4. 4

    所管窓口へ届出

    新規設定・変更の内容に応じた届出書と規程等を提出。提出先・提出方法を確認します。

  5. 5

    現場で共有し、運用を始める

    最新の規程を船と陸で確認。教育・訓練を行い、決めた手順で記録を残します。

これから始める事業

事業開始までに準備・届出

安全管理規程の設定・届出を、許可・登録や管理者の選任と合わせて進めます。

開業後に変える事業

変更後の運用前に確認・届出

規程を変えるときは変更届出を確認。事業計画や管理者も変わる場合は、それぞれの手続きも確認します。

図解 6 似ていても、別々に確認する3つの手続き
事業を営むための手続き不定期航路事業の許可・登録許可・登録の案内 →
安全な運航のルール安全管理規程の設定・変更届出このページの対象
安全管理を担う人の手続き管理者資格・選任等の届出資格・選任の案内 →

安全管理規程を届け出るだけで、事業の許可・登録や管理者の選任届出がすべて済むわけではありません。

変更届出で確認する主な書類

  • 安全管理規程変更届出書変更の内容・時期などを整理
  • 変更後の安全管理規程と各基準運航基準・作業基準・事故処理基準など
  • 運航可否判断等の手順図運航基準の別紙として準備
  • 対象となる場合の追加書類防災等の基準、管理者の選任・解任に伴う届出など

必要書類・様式・添付方法は、事業区分と届出内容により確認します。

06

届出のあとが、本番

毎日の確認と記録を、
無理なく続けられる形に。

規程は書類棚に置くためのものではありません。日々の運航で使い、気づいた問題を次の改善につなげます。

図解 7 1回の運航で確認すること
  1. 運航前

    情報と体制

    気象・海象・予報、乗組員の体調や酒気帯び、船の状態を確認。

  2. 乗船時

    人数と安全案内

    旅客数、乗降時の安全、救命設備の案内などを確認。

  3. 航行中

    変化の把握

    天候や海の変化を確認し、船と陸で必要な連絡・再判断。

  4. 運航後

    記録と共有

    判断・点検・不具合などを記録し、次の運航に引き継ぐ。

図解 8 安全管理を続ける4つの動き
  1. 1決める実態に合う規程・基準
  2. 2実行する運航・教育・訓練
  3. 3確かめる記録・内部監査・点検
  4. 4見直す問題の改善・規程の変更

見直した内容を、次の「決める・実行する」へ

残しておきたい記録

運航可否の判断、発航前の確認、酒気帯びの確認、教育・訓練、内部監査など。保存期間は記録の種類で異なるため、まとめて一律に扱わず確認します。

見直しが必要になる場面

船舶・航路・担当者・連絡先の変更、訓練や監査での気づき、事故・ヒヤリハット、制度改正など。変更内容に応じた届出も確認します。

07

よくある疑問

ここが気になる、安全管理規程。

旅客定員12人以下でも必要ですか?

海上運送法に基づいて人を運送する事業では、旅客定員12人以下の小型船舶を使用する登録事業も、安全管理規程の作成・届出の対象です。船が小さいことだけを理由に不要とはなりません。

「フェーズ2」と書いた表紙に変えれば足りますか?

表紙の変更だけでは足りません。新しいひな形と照らして内容を見直し、運航可否判断等の手順図、情報の入手元、実際の連絡・代行体制まで整える必要があります。

船長がすべてを担当する形にできますか?

兼務には条件があります。対象となる事業・船舶、必要な講習、陸上従業者、連絡体制などを先に確認し、認められる体制を規程に反映します。更新講習・兼務講習のページでも図解しています。

船や航路を変更したら、規程も見直しますか?

運航基準、担当体制、乗降場所、連絡先などに影響しないか確認します。規程の変更届出に加え、事業計画の変更認可・届出等が必要になる場合があります。開業後の変更手続きと併せて確認してください。

何を用意して相談すればよいですか?

現在の規程一式と届出控え、許可書・登録通知、船舶検査証書等、航路図、管理者・船長の体制が分かる資料をご用意ください。新規開業の場合は予定する内容で構いません。変更予定日や困っている点も伺います。

高松海事法務事務所へのご相談

今ある規程から、
必要な見直しを整理します。

新規開業の準備、フェーズ2への変更、船舶・航路・体制の変更。不定期航路事業の許可・登録と安全管理の手続きを、まとめてご相談ください。

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