傭船・請負・工事の運送を整理

不定期航路事業の
登録が不要になる場合

作業船や通船、工事関係者の送迎、定期傭船。どのような場合に海上運送法の登録が不要になるのか、契約と運航の実態から図で解説します。

図で順番に確認する

内容確認:2026年9月29日

工事の担当者と船の運航者が、港の作業船の前で運航内容を打ち合わせる様子
判断の軸は、契約名ではなく運送の実態。

誰が、誰の需要に応じて、誰の責任で運ぶのか。請負関係・運航指示・乗船者の範囲をつなげて確認します。

動画でわかる

登録が不要となる運航を
動画で解説

登録不要の考え方を、具体的な運航の場面とともに解説します。

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登録が必要かは、
「誰のための運送か」から考えます。

不定期航路事業で人を運ぶときは、まず「他人から求められて行う運送事業」なのか、「自分の仕事や生活のために自ら責任を持って行う運送」なのかを整理します。後者に当たる自己の用に供する運送などは、海上運送法の手続きを要しない場合があります。

登録の要否を整理する、3つの確認
  1. 確認 1誰を乗せる?

    家族・自社の人・工事関係者・取引先の人・一般客。所属だけでなく、乗る理由を確認します。

  2. 確認 2何を引き受けた?

    工事そのもの、船の貸渡し、それとも人の送迎。契約と実際の業務を照らし合わせます。

  3. 確認 3誰が運航を担う?

    運送の主体、運航指示の権限と責任、使用する船と船員を確認します。

自己の用に供する運送等に該当

その運送について、海上運送法の許可・登録が不要となる場合があります。

他人の需要に応じる運送事業

船舶・旅客定員・航路・運航方法に合った許可や登録を確認します。

「無料」「12人以下」「たまに運航」だけでは判断できません。

無償でも事業として他人の需要に応じて人を運べば、登録等の対象になります。12人以下は登録不要の人数基準ではありません。また、旅客定員13人以上で一定の航路に就航する場合などは、登録ではなく許可が必要になることがあります。

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手続きが不要となる、
代表的な運航の形。

「船の呼び方」ではなく、その便で何をしているかを見ます。同じ船でも、遊漁の便と観光遊覧の便では取扱いが変わります。

家族・友人との自家用運航

家族や友人、隣人を無償で乗せる私的な運航など。一般客を募集する運送事業とは分けて考えます。

遊漁・瀬渡し

釣りを行わせることが目的で、運送がその活動と一体になっている場合。遊漁船業の登録など、別の制度の手続きは必要です。

ダイビング等と一体の運航

ダイビングを行わせることに主眼があり、運送が活動と切り離せない場合。観光遊覧や送迎だけを引き受ける便まで自動的に対象外にはなりません。

主催者自身のイベント運航

遠泳大会の伴走など、主催者がイベントの一環として自ら責任を持って行う運航。見物客や会場への一般客の運送は別です。

自分が担う工事等のための運航

請負契約、船舶・船員、乗船者の範囲などの条件を満たす建設工事・調査・保守点検の運航。下の図で詳しく説明します。

定期傭船による自己の運送

商法上の定期傭船の実態があり、傭船者が自己の需要・責任で自己の人や物を運ぶ場合。契約書の表題だけでは足りません。

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工事・請負・調査の作業船。
契約のつながりと乗る人を図にします。

建設工事、海上調査、施設の保守・点検では、その仕事を完成させるために船で移動することがあります。自己の用に供する運送として整理するには、工事等の請負関係と、必要な乗船者の範囲が明確であることが大切です。

例:船と船員を持つ一次下請が、請け負った工事Aの関係者を運ぶ
発注者工事Aを発注
元請工事Aを請負
一次下請工事Aを請負
船舶・船員を保有
二次下請工事Aの一部を請負
矢印は工事Aの請負契約工事Aに必要な乗船者を明示請負業務と運送の実態を一致
工事Aの完成に必要な範囲の乗船

請負関係と乗船者の範囲が条件を満たす場合は、自己の用に供する運送として整理できます。

別工事Bの人も、ついでに送迎

同じ港・同じ現場付近でも別の工事です。工事Aの範囲外の運送を、同じ理由で対象外にはできません。

工事そのものを請け負っている

施工・調査・点検等を完成させるため、その請負関係にある人が必要な範囲で乗船する構造を確認します。

「作業員」という呼び方だけでなく、どの契約のどの仕事をする人かを示せることが必要です。

人を現場へ運ぶことを引き受けている

工事会社などから、作業員の送迎だけを頼まれた通船・交通船。工事関係の運航であっても、人の運送事業として手続きが必要になる場合があります。

点検員・調査員の運送も同じ考え方です。

発注者・元請・下請であれば無条件に全員を運べる、という意味ではありません。請負の対象、乗船の必要性、所属・役割、実際の運送範囲を合わせて確認します。

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傭船・チャーターなら不要?
「船を使う契約」と「運送の依頼」を分けます。

定期傭船は、船員を乗り組ませた船を一定期間、相手方の利用に供する契約です。傭船者が自分の需要と責任で自己の人・物を運ぶ場合は、海上運送法の適用を要しないことがあります。

定期傭船で確認する、利用と責任の関係

傭船者

船を借りて利用する側
自分の事業のために運航を指示

定期傭船契約
船舶の利用・指示

被傭船者

船を利用に供する側
船舶と船員を用意

傭船者自身の運送需要を満たす

自己の人・物を、自己の責任で運ぶ運航であることを確認します。

傭船者が他人の送迎を引き受ける

借りた船でも、人の運送事業として海上運送法の適用を受けます。

工事の元請が、船を持つ下請や第三者との定期傭船契約により運航指示権を持つ場合も、請負契約の工事範囲と必要な乗船者を明らかにします。船を借りたことで、無関係の工事や一般客まで運べるようになるわけではありません。

  • 契約名だけでなく、条項と運用期間、提供する船舶・船員、利用・指示、費用負担、責任の分担を確認します。
  • 船長の安全判断を確保船舶の利用に関する指示と、発航前検査など航海の安全に関する船長の判断を混同しません。
  • 運航する側と貸し渡す側を分けて確認海上運送法が適用される場合は、貸し渡す側の船舶貸渡業などの手続きも確認します。
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こんな理由だけでは、
登録不要とはいえません。

よくある判断と、確認すべき実態

「無料だから」

料金の有無より、運送の実態

営利目的ではなくても、事業として他人の需要に応じる運送は対象になり得ます。

「遊漁船登録があるから」

遊漁以外の便は別に判断

観光遊覧、花火見物、一般の送迎などを追加するなら、その便の許可・登録を確認します。

「工事関係者だけだから」

工事の請負関係と範囲を確認

仕事の関係者というだけでなく、自己の用に供する運送としての条件がそろっているかを見ます。

「請負契約・傭船契約だから」

書類と実際の運航が一致しているか

表題を変えるだけでは運送の実態は変わりません。送迎だけの委託を含め、内容を確認します。

このページで扱う「登録不要」は、主に海上運送法の人の運送事業に関する手続きの話です。船舶検査、船舶操縦者の資格、船員関係、港や水域の利用ルール、保険、遊漁船業の登録等まで一括して不要になるものではありません。

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相談前に、
5つの資料があると整理が進みます。

  • 船舶検査証書・船舶検査手帳船の用途、旅客定員、航行区域、使用上の条件を確認します。
  • 契約書・仕様書工事請負、調査委託、定期傭船、送迎委託など、関連する契約一式。
  • 契約関係図発注者、元請、各下請、船舶所有者がどのようにつながるか。
  • 乗船者の範囲と作業内容どの会社の誰が、何のために乗るのか。別工事や一般客を含むか。
  • 運航計画出発地・目的地・航路・回数・運航期間、指示を行う者と責任者。

「登録が必要か」から、ご相談ください。

工事、傭船、請負の関係が複雑な場合も、予定している運航と契約内容から必要な手続きを整理します。個別の運航については、契約書等を確認し、必要に応じて所管窓口への確認を進めます。

運航内容・登録の要否を相談する
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登録不要についての、よくある疑問。

自社の従業員を運べば、必ず登録不要ですか?

自社の需要に基づいて自ら責任を持って行う運送かを確認します。船会社が別会社の従業員の送迎を引き受ける場合は、その船会社から見れば他人の需要に応じる運送です。従業員という呼び方だけでなく、誰が運送事業を行うのかが重要です。

通船・作業船という船名や用途なら対象外ですか?

船の呼び方だけでは決まりません。船舶検査証書の内容と、実際の運送目的、請負関係、乗船者、運航の責任を確認します。

登録不要なら、安全設備も不要ですか?

別の判断です。事業の許可・登録と船の検査・安全設備は制度が異なります。運航目的や船舶の用途が変わる場合も含め、船舶検査証書と実際の使い方を確認してください。

以前の届出がある事業者も、登録不要にできますか?

実態が人の運送事業のままであれば、契約の呼び方を変えるだけで登録不要にはなりません。既存の届出内容と現状を確認し、該当する事業では登録への移行を進めます。